Reznor

ラブ・アクチュアリーのReznorのレビュー・感想・評価

ラブ・アクチュアリー(2003年製作の映画)
4.3
もう何度も見ているけど、今回初めて物語の中の時間に近いクリスマス前の時期に見た(Huluがやたら勧めてきたw)。年々クリスマスやお正月などの感覚がなくなっていく中、こんな風にクリスマス感を味わうのも悪くない。

さまざまな職業、家庭環境、想いを持った19人の男女が、クリスマス前にさまざまなストーリーを繰り広げる同作品。個人的にはコリン・ファース演じる作家とポルトガル人女性の話が好き。2人は言葉が通じないけれど、それぞれ言っていることがかぶっている。その事実は2人は知らないけれど、お互いの気持ちをなんとなく感じている。
一度離れたが想いが募り、彼が必死で習得したポルトガル語でプロポーズし、彼女も同様に習得していた英語で「Yes」と答えたシーンは、本当に素敵だった。愛に言葉はいらない、なんていうのはウソだと思うし、うまく行き過ぎではあるけど、映画はこうでなくっちゃという感動が素晴らしい。

親友の妻を好きになってしまった彼の話は切なすぎるが、ラストのセリフが本当にかっこいい。アラン・リックマン演じる会社社長とその妻の話や、長年想っている同僚とやっといい雰囲気になれたのに、複雑な事情で成就させることができなかった女性の話は切ない。幸せの影では、こんな風に涙を流している人も山ほどいるんだろう。
自分へのプレゼントだと思っていたネックレスが、他の女へのプレゼントだとわかった時のつらさは想像しただけでヤバイ。母という立場がなかったらその場で号泣もできたのだろうけど、それさえできなくて、部屋にこもってひっそりと泣く彼女の姿は本当に切なかった。流れていた曲の「愛は与えて奪う。それを知りつつ、愛の幻覚は今も尾を引いている」という歌詞がまたぴったりで…。
曲と言えば忘れてはいけない、落ちぶれたロックスターが再起をかけて歌う「Christmas Is All Around」。これ耳から離れなくなるし、毎年聴きたくなるな~w

首相も作家も少年も、みんな自分の想いを伝えるために走る。先日投稿した「君の名は。」のレビューでも書いたのだけど、人のために走るシーンを見ると涙腺が緩んでしまう。走るって行為は遅刻しそうとか、慌ててるとか、ほとんどいつだって自分のためだし、できれば疲れるし走りたくない。だからこそ人を想って必死に走っているシーンを見ると、「がんばれ!」と応援したくなる。具体的な記憶としても残っていないけれど、もしかしたら私は人のために走らなかった(=勇気を出さなかった)過去があったのかもしれないなぁと思う。きっと本当に些細な出来事だったのだろうけど。

それにしてもアメリカ人女性のイメージがそのまますぎておもしろいw アメリカ人が見たらどう思うのだろうかw 「ホリデイ」のキャメロン・ディアスもそうだったけど、やっぱり派手で奔放なイメージがあるよね。逆にアメリカ人女性から見たら、イギリス人男性はかわいいのだろうか?

「憂鬱な気分におちいった時は、ヒースロー空港の到着ゲートのことを考えることにしている」から始まる冒頭のセリフも素敵。たしかに、現代は悲しい事件が多いけれど、失望するほどには愛を失っていないのかもしれない。クリスマスのお台場とか六本木とかのカップルの多さには正直胸やけしそうになるけど、このセリフを思い出したら乗り切れそうw
そしてたしかに、これから旅立つワクワクと、帰ってきた安心感に溢れた空港は、ネガティブな感情が少なくて私も大好き。

今回は、たまたま「ハリー・ポッターと死の秘宝」Part1と2の間にこの作品を見たので、アラン・リックマンのいろんな表情を見ることができた。本当に素晴らしい俳優さんだったなぁ。もうその演技が見られないと思うと残念で仕方がない。
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