広島カップ

椿三十郎の広島カップのネタバレレビュー・内容・結末

椿三十郎(1962年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

傑作娯楽時代劇『用心棒』(1961)の続編。
砂塵舞う殺伐とした宿場町を「アバヨ!」と後にした、あまりにもカッコいいサムライ桑畑三十郎が椿三十郎と名を変えて再登場です。
三十郎のカッコ良さはそのままに、かなりコメディ色が強くなっているのが憎いところ。
無敵だった「七人の侍」に二人足したヘナチョコ「九人の(青)侍」が大活躍し三十郎の足を引っ張ります。腕の立つ剣客には負けないがおっとりした奥方の態度には骨抜きになる三十郎も笑えます。悪役の志村喬の大袈裟な演技にも頬が緩みます。

そして独創的な居合対決による三十郎対室戸の大団円。
二人の対決は前方からは観客が、スクリーン奥からは九人の青侍が息をひそめてジッと見つめるという視線サンドウィッチ状態の構図。12:5の横長ワイドのシネスコ画面に11人をギュッと詰め込んで存分に緊張の弓を引き、一太刀で終わらせた出血大サービスのラストでした。

そして三十郎はまたしてもカッコよく「アバヨ!」と一言、丘の向こうに消えて行くのでした。
観客は皆「また帰って来てね!」と願ったはずです。
広島カップ

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