半月板損傷

椿三十郎の半月板損傷のネタバレレビュー・内容・結末

椿三十郎(1962年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

「良い刀は鞘に入っている」

わかる。
でも男って、ギラギラとした抜身の刀に憧れて、イキッちゃう幼稚な生き物なんよね。

前作「用心棒」に続いて本作を観進めながら、ただただその斜に構えた無頼漢の格好良さを味わうシリーズなんだろうなこれは、と思いきや。
2作目にして、真逆の美学をぶっ込んでくるやん。
そして、それが三十郎をちょっぴり感化して、何なら食ってしまうやん。

最後の最後でようやく登場する城代本人。
伊藤雄之助という人が演じてる、この城代のキャラ立ちがエグい。
で、この人こそが奥方の言う「鞘に入った刀」そのものだったことが明確に示される。
そういえば奥方は彼のことを「狸」とも言っていたし、きっと刑事コロンボみたいな、すっとぼけた切れ者なのだ。城代は。
お家騒動にあってそれを信じて動じなかったこの奥方も、やはり単なる「足りない」のほほんキャラではなかったのだ。

結局のところ、ハナっから、城代の切れ者っぷりを知らぬ若侍たちの余計なお世話の自滅的な暴走でしかなかったわけだけど、加山雄三、平田昭彦、田中邦衛ら9人がなんかヒヨコみたいで可愛かったですね。
いまにしてみればトンデモナイ面子ですけど。笑
この若侍たちはきっと将来、城代イズムを受け継いで立派な「鞘に入った刀」となっていったことでしょう。
ちょいちょい大事なことを言っては自ら押し入れに戻っていく小林桂樹が面白かった。笑

ひたすら殺伐としたハードボイルド路線だった「用心棒」から、真逆な美学を裏テーマにぶっ込んできた本作。
黒澤映画ちゃんと観始めてまだ2作目ですが、もうすっかり手玉に取られてる気分。
いやぁいいすね。
シンプルに、小気味よくて楽しいですし。


次は「七人の侍」かな!
半月板損傷

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