ミサホ

椿三十郎のミサホのレビュー・感想・評価

椿三十郎(1962年製作の映画)
4.6
ここんとこ、サンドラ→クロサワ→サンドラ→クロサワ…と続いてます。本作、どうやら先日観た『用心棒』の続編的な扱いらしい。

三船敏郎演じる流浪の侍、三十郎(もうすぐ四十郎)が主役である。もちろん、剣の達人だし、冷静沈着、質実剛健、洞察力に長けていて、視野の広い戦略家である。

暗闇から現れる三十郎が格好良い。

時代劇だけど、現代に置き換えると、会社での人材育成のようだ。雇われ社長みたいな感じで、急ごしらえの9人の部下の指導にあたる。仕事の進め方と問題解決力を鍛える。

めちゃくちゃ面白かった。

加山雄三を始めとする9人の若侍たち。大目付の菊井の策略に嵌り、危ういところを三十郎に助けられる。

そうこうしているうちに
城代家老の伯父がさらわれた。
これも菊井の陰謀か。

三十郎が加わった10人で、菊井をなんとかやっつけたい。伯父を助け出したい。彼らは団結し、戦略を練った。

ところが彼らが提案する戦略は、ことごとく三十郎にダメ出しを食らう。考えが浅く、本質を読めていない。若さゆえ、情報に流されやすく、よく言えば、疑うことを知らないお子ちゃまなのだ。

この9人が可愛いのよ。
盛り上がって、どっと沸いたり、飛び上がって喜んだり…三十郎はそんな彼らを鍛えに鍛える。

ただ、いつまで経っても成長しない。おんなじ過ちを繰り返す。ま、そんなすぐには成熟しないし、失敗は成功のもとっていうよね。

しかし、三船敏郎って同じような役をやっても、なんか飽きずに見ていられるよね。不思議な魅力のある役者さんだな。若侍の中心的存在の加山雄三もよい。品の良さが溢れ出てる。

お気に入りのシーンは、序盤、社殿にやって来た菊井の手勢を相手に三十郎が暴れ倒し、退散させたあと、隠れていた9人が床下からひとり、またひとりと顔を出すところ。アニメみたいな効果音もあって、めちゃくちゃ可愛かった。

そして、三船敏郎と仲代達矢の対決。
痺れます。『用心棒』とは対照的に、短いながらもキレがある。個人的には『用心棒』よりこっちの方が好きでした。
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