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椿三十郎のTPのレビュー・感想・評価

椿三十郎(1962年製作の映画)
4.1
★1989年に続き2回目の鑑賞★

 話の骨格は「用心棒」と同様、「二つの組織の対立する地域によそ者が現れ、その混乱を鎮める」というものだが、本作は常に若侍側に味方することになるので、主人公がどちらにつくのかわからない風来坊然としていた「用心棒」に比べると緊迫感が少ない。
 また、本作では明らかにコメディリリーフ的に登場する役柄(家老の妻子、相手方の囚われ侍)がいて、彼らの登場により、スピード感が途切れるし、ストーリー上の破綻(家老が囚われている家の隣家で大声で妻子が話しているなど)も散見される。

 三船の堂に入った浪人振りと、前作同様悪役筆頭を演じる仲代の二人の存在感は際立っており、娯楽映画としての水準は高いのだが、この二人に見どころが偏り過ぎているところや、舞台が屋内が多いことから「用心棒」のような画角上のダイナミックさを感じられないなどもあって、個人的嗜好では前作には及ばないと評価。
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