Tai

椿三十郎のTaiのレビュー・感想・評価

椿三十郎(1962年製作の映画)
5.0
午前十時の映画祭にて!

この作品に出会ったのは10年くらい前、黒澤作品を未鑑賞だった私に黒澤ファンの友人が入門編として勧めてくれました。
ユーモアたっぷりで笑えるうえに、一対多数の大立ち回りな殺陣にと見所満載で観易く非常に面白かったんです。
しかし、1番衝撃を受けたのは物語が一件落着したかにみえた、その後。
そこでの物語の中枢にいた2人の一騎打ちに度肝を抜かれました。
あまりの迫力に「スクリーンで観てみたいなぁ」と思っていたのですが、この度、夢叶いました!
これだから午前十時の映画祭はやめられない‼︎

「これからの二人の決闘は、とても筆では書けない。長く恐ろしい間があって、勝負はギラっと刀が一ぺん光っただけできまる」
小説ではなく脚本でこんな無茶振りを書かれれば、形にしなくてはいけない本人たちはたまったものではなかったはず。
しかしインターネットも無かった時代にあの抜刀術の元となった孤刀影裡流に辿り着いた殺陣師・久世竜氏、大迫力の血しぶきを再現した小道具・神保昭治氏、何より今の時代なら「CG?加工?俺がやるからいらねえよ」と言わんばかりに生身で体現した三船敏郎氏と、それに相対した仲代達也氏、そして見事にその画をおさめた黒澤監督には脱帽です。
現場すべての要素が合致した、これも映画撮影という団体競技だから成せた奇跡だと私は思っています。

私的何度も観かえしたくなるアクションシーンNo. 1。
果たして死ぬまでにコレを超えるものに出会うことができるのでしょうか…?
Tai

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