似太郎

ファンハウス/惨劇の館の似太郎のレビュー・感想・評価

ファンハウス/惨劇の館(1981年製作の映画)
4.6
「映画は所詮、夢よ。悪夢かも知れんけどな。だからこそ面白いのじゃぁ〜〜ッ!!」
by.Tobe Hooper 🎬

大林宣彦の『HOUSE/ハウス』と並ぶホームメイド感満載のB級ホラーの傑作。随所に仕掛けられたギャグ演出やブラックユーモア溢れる展開などもさすがに奇才・トビー・フーパーといった感じでこの人らしい批評性を感じる。早漏のフリークスの青年が一際哀愁を誘う。

肝心の内容は、若者達(と一人の少年)のたった1日の「お化け屋敷体験」を延々と描いただけのものだが、ロー・キー=闇の映像を多用したキレ味抜群な映像センスや凝りに凝りまくったゴシックな意匠など、其処彼処にホラー映画ならではの「美学」をぶち撒ける辺りはさすがフーパー御大。

フーパー御大の代表作『悪魔のいけにえ』以上に破綻を恐れず、あくまで画と音によるサービスを観客に提供するエンターテイナー精神は正しく純粋映画のソレであり、全くもって「駄作」「愚作」には似つかない風格の漂う真の名画である。

「恐怖と笑いの融合」この一見するとアンビバレンツな要素が互いにぶつかり合い、本作のカオティックな世界観をより一層引き立てている。
いわゆるリアリティ(現実味)は皆無であり、映画でしか表現できない「フィクショナルな快楽」のみを追求したフーパーらしいホラーの逸品となった。

それにしてもホラー・マニアの作った映画というのは展開がどれもこれも分かり易いですネェ〜。
似太郎

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