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ファンハウス/惨劇の館のlaBamba01のレビュー・感想・評価

ファンハウス/惨劇の館(1981年製作の映画)
3.1
高校生の頃、初めて 文芸坐のホラー映画特集の中の一本として観た印象は、「何かテンポが緩くて地味」だったのだが、今回DVDで再見して、あの頃隆盛を極めた80年代スプラッター&SFX映画ブームの括りで語るべき作品ではなかったのだと気づいた。

本作は実にオーソドックスなホラー、というよりクラシカルな怪奇映画の佇まいさえ漂わせる。実に丁寧な作り。

カーニバルのファンハウス = お化け屋敷という、いかがわしく猥雑でどこか懐かしい雰囲気を、空間としてきっちり見せてくれる。舞台となる空間の実存感というかリアリティが素晴らしい。

そして、主人公の無軌道で身勝手な若者達よりも寧ろ、彼らを魔の手にかける側の日陰者のアウトサイダー達に肩入れしたくなってしまう、寂寥のエンディング。
イヤまぁ実際観てみると、モンスターのフリーキーな見た目には、大抵の人は共感など出来ないのかも知れないが。。僕は今回、哀切の情が湧きました。

80年代初頭から量産され、ある種フォーマット化されていたホラー映画のお約束を、ビミョーに外しつつ、自身の描きたいホラー映画を追求する頑固職人トビー・フーパーが実は楽しみながら撮った作品ではないかと思った次第。

近代ホラー映画の先駆であり金字塔でもある「悪魔のいけにえ」によって、あまりにも有名になってしまった マスター = トビー・フーパーの本来の作風はむしろ本作に近いのではないか...以降のフィルモグラフィーを振り返りつつそう感じた。
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