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ファンハウス/惨劇の館のharuのレビュー・感想・評価

ファンハウス/惨劇の館(1981年製作の映画)
4.5
『悪魔のいけにえ』で知られるトビー・フーパー監督による、
遊園地ホラーの代名詞的作品です。
(ホラーファンの間では)

遊園地に遊びに来た男女数人がお化け屋敷に入り、
中に潜んでいた化け物に1人また1人と殺されていく……
というストーリーはもう何万回も観てきましたし、
そんな作品で本当に面白いと思えるのは数少ないですが、
本作はその数少ない一作だと思います。

なぜならば、
若者連中に恐怖と絶望を味わわせる側である"化け物"が、
他作品では類を見ないほどに物哀しく、
弱弱しいキャラクターとして描かれているから。

正視するに堪えないほどに醜悪な顔に生まれ育ち、
手足も通常の人間のそれより奇怪。
ゆえに親にさえ見放され、
周囲の同僚(?)からも畏怖されている。
それでもちゃんと"人間"らしい感情は持っており、
人並みに性欲だってある。
しかしそれを吐き出すことさえままならず、悶々とする。
そこに現れた、ヒロインである侵入者の処女 エイミー。
恵まれた環境・容姿だが、
男性と触れ合うことに躊躇を感じる無垢な少女との巡りあわせは、
構図としては殺す側・殺される側のホラー的なものなのだが、
どこかなんとも奇妙な関係性を感じさせる。

ラストの"決着"のシーンは涙さえ流れるほど哀しく、
エンディング前の遊園地の俯瞰ショットの映像などは
メッセージ性を強く感じ、考えさせられる。

ある種、『バスケットケース』に近いテイストを持った、
なかなかにオルタナティヴなホラー作品です。
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