キャッチ30

テルマ&ルイーズのキャッチ30のレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
3.8
 平穏な日常を過ごしていたはずの女性二人が旅先で犯罪を犯し、追い詰められていく。設定からアメリカン・ニューシネマの匂いがするが、映画は重苦しくはならない。むしろ、爽快感すら感じられるくらいだ。

 アーカンソー州に住む主婦のテルマと友人でウェイトレスのルイーズ。二人は退屈な日常から逃れる為にバカンスを計画し、実行に移す。しかし、途中立ち寄ったドライブインでテルマが見知らぬ男に襲われそうになり、ルイーズがその男を射殺してしまう。二人の決死の逃避行が始まる。

 テルマは処女のまま結婚した為、セックスの快楽を知らない。夫には女として見てもらえず、すぐに人を信用してしまうお人好しだ。一方、ルイーズは男勝りでジミーという恋人がいるが一歩踏み込めないでいる。その理由は過去に男に対するトラウマがあったことを仄めかしている。弱い存在だった筈の二人が殺人や強盗に手を染め、警察に追われていくうちに逞しい存在になっていく。その変化が顕著なのがテルマだ。行きずりの男と一夜限りの関係を結んだことで行動が大胆になっていく。

 監督のリドリー・スコットはこの変化の過程を描いている。警官に銃を向けたり、タンクローリーを爆破したり、大量のパトカーとのカーチェイスを繰り広げる場面は痛快だ。脇役の男性たちも目を惹く。当時無名だったブラッド・ピットにとってはこれが出世作となった。