天鵞絨

テルマ&ルイーズの天鵞絨のレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
4.5
ラストが本当にね、秀麗。
『俺たちに明日はない』とはまた違う、感嘆漏れ出す結末の美しさ。
話の筋だけ見れば決して希望に満ち溢れた話では無いのですが、抑圧され、軽んじられていた女性達が"目的地"を目指して自由奔放に車を走らせる逃走劇。
ここから先は自分達しか信じない。自分達しか存在しない世界。立ち向かう人間に家族が居ようと居まいとただ振り切るのみ。

テルマもルイーズも良い性格してますよ。
テルマは頭のネジが外れやすいというか、あの解放された姿はとてもエネルギッシュですよね。
初めはルイーズに指示されてオドオドしていたが、彼女の言葉を借りる狐となり、(エクスタシーを経て一皮剥け、)最後には警察を脅してルイーズを顎で使えるまでに変貌するのですから。

包囲される前、浜辺に着いた時のプラン、一緒に飲むカクテルの種類、改名しよう……そういう来ないであろう明日のことを笑みを交わして会話する刹那的な瞬間がロマンチック……
最後なんて微塵も湿っぽさを感じさせない爽やかさじゃないですか。それは「本当の幸せ」を最期に選んだから。

しかし良い「画」が多いなあ。煙幕を上げるトレーラーを背後に車を走らせるテルマとルイーズ。
ボトルウォーターを飲んだ後、煙草で一服するサイクリングの兄ちゃん。
最後にアクセルを踏み込んだ後、ホワイトアウトする画面……うーん、最高。
天鵞絨

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