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テルマ&ルイーズのmidoredのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
3.7
窮屈な日常からしばし離れるために女2人でドライブ旅行へ出かけたところ、雪だるま式にどえらいことになる有名なロードムービー。西部劇さながらの雄大な風景と自由に輝く女たちの姿が印象的でした。

ただ、そんなに女性が自由な映画とは言えないなという感想です。まずテルマが間抜けすぎます。これは昔の映画でよく見かけるミソジニーに基づく愚かなヒロインのように感じます。

それに、女2人水入らずで旅行しているのに、行く先々で必ず男性と絡みます。女性が主人公であるにも関わらず、女性の視点および世界が皆無です。物語は常に「対男性」の形で進みます。男性登場人物が加害者ばかりでバランスが悪いと思ったのか、会ったこともないのに一方的に父親ばりの庇護欲を抱いて善人づらしている刑事にいたってはもはや意味不明です。

テルマとルイーズはこの逃避行中、男たちの支配から束の間逃げられたようでいて実はまったく逃れられていません。変則的ではあれ、男達が加害し、欲情し、愛し、庇護するためにのみ存在しているヒロイン達だったと思います。ラストの選択をのぞいて。

それに続く物語の結末もまた男たちのためにあるので、あの選択した数秒間だけが彼女たちの自由だったと思うと悲しい映画です。

モヤモヤするお話ですがどこまで転がるのかわからない展開の面白さと風景の美しさで点数は高めにしました。
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