むるむる

テルマ&ルイーズのむるむるのネタバレレビュー・内容・結末

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ずっと観たかった作品。今再上映されていることに納得の作品。

最高のシスターフッド、ロードムービーで、見終えた時の私は最高の爽快感と、無力感で引き裂かれる思いだった。
暴力への抵抗とはいえ人を殺した時点でこの2人がハッピーに逃げ仰ることは恐らくないだろうと思い、では向かうラストはどこか?と考えると
①捕まる
②死ぬ
の2択で、方向性的に①ではなさそう…というところまで考えて、「殺されるよりは心中の予感があるが、この2人の性格でどう心中するのか?それに納得がいくのか?」とモヤモヤしていたのだが、大変に最高に爽快な心中、むしろ解放のようなラストであっぱれでした…
テルマとルイーズならばこの選択をするし、あの状況下で、あの作品ではこれがベストだったと思う。

ただ一方で、彼女達を唯一案じていた警官のやるせなさにも共感してつらかった。
彼女達が人を殺したのも、強盗したのも、外部(男性)からの加害があったからで、それらの加害がなければ予定通りのバカンスを楽しんでいたはず。
この事件を経て、結果的にテルマは本来の自分になれて解き放たれたけれど、それもあの旦那と結婚して家庭に押し込められていなければとっくに自分らしく生きていたのではないか。
いろんな前提条件がそもそも彼女達にとって過酷な世界で、その世界が現代で変わっているかと思うとまだまだ変わっていないことが悲しい。
今の日本で上映されて、共感する人々がいて、古臭い過去の映画だと笑い飛ばせない状況であることがつらかった。

本作は本当に素晴らしく大好きな作品だけれど、この作品が遥か昔の物語のように感じられる時代になってほしいと願う。