syuhei

テルマ&ルイーズのsyuheiのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
4.0
1991年のリドリー・スコット監督作品。

アーカンソー州に暮らす中年女性、専業主婦のテルマとウェイトレスのルイーズ、親友の2人はドライブ旅行へ。立ち寄ったバーでテルマがレイプされそうになりルイーズが男を射殺。逃亡した2人は各所でトラブルに遭遇しながらも自力で道を切り拓く。自由な生き方と友情に覚醒めた2人の逃避行の行方は…?

愛のない夫から家政婦扱いされるテルマ、負けん気は強いが過去の性被害のトラウマを誰にも打ち明けられないルイーズの2人が破天荒なロードトリップを通じて人間としての尊厳を回復し自由を手にする本作は当時(今もか?)の男性中心社会への鮮烈なアンチテーゼであり現在のフェミニズム映画の源流。

ジーナ・デイヴィス演じるテルマの成長と変身ぶりは見事で序盤と終盤でまったく異なるキャラクターに。自分でハンドルを握り人生を突っ走る2人の姿は爽快だが自由の代償は目に見えて増大、映画史に残るラストシーンへと繋がる。当時は『さらば青春の光』に似ていると思ったが今観るともっと明るい。

テルマのレイプ未遂がきっかけのようだが2人の怒りが爆発する火種はそれ以前に埋め込まれている。男性と女性の非対称性を象徴的に表すシーンがあちこちに見られる。今見返しても優れたフェミニズム&エンパワメント映画だが今なお本作のメッセージが有効であることは悲しむべきことかもしれない。

https://x.com/syuhei/status/1761900438784561291?s=20
syuhei

syuhei