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港の日本娘のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

港の日本娘(1933年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

劇場の本作紹介文に目を通した所、
「ほにゃららほにゃらら~省略。伝説的美少女とモダンな映像美を刮目せよ!」
と最後の一文にあり、自分は「も、モダンな映像美、めっちゃ気になる。モダンな映像美がめっちゃ気になる。」
と誰に言い訳するでもなく、"伝説的美少女"にはまったく興味ありません、というような顔をして窓口で切符を買って、映画を見た。

映画が始まってからも「モダンな映像美モダンな映像美モダンな映像美モダ…」とお経のごとく念じ続け、心の邪念を追い払おうと努めたが、噂の伝説的美少女が登場した途端、思わずカッと目を見開いてしまったが、自分が思うような伝説的美少女ではなかったので、拍子抜けした。おそらく、井上雪子さんがその伝説的美少女なのだと思いますが、確かにハーフっぽいルックスで妖精のような透明感がありました。

物語は、仲良し女学生だったドラと砂子がハンサムボーイフレンドのヘンリーと三角関係で、女ギャング?のシェリダン耀子がヘンリーといちゃついている所を砂子が拳銃でシェリダン耀子を撃ち抜き、砂子は堅気の暮らしができなくなって…というような話だったのであるが、上映中ずーっと思っていたのは、「登場人物達の名前モダンすぎへん?」というこの一点である(勿論ストーリーもモダン過ぎる)。ドラ、砂子、シェリダン耀子。この3人のインパクトはちょっと中々見かけない。特にシェリダン耀子、名前最高かよ。

しかし、全然ふざけた作品とかではなく、横浜の港を舞台に、仲良しだった女学生二人の明暗を情感たっぷりに描いた素敵な映画であった。

女学生時代のセーラー服もいかしており、砂子がシェリダン耀子を撃つ時には、ちょっと「セーラー服と機関銃もとい拳銃」とかも思った(撃つ時にセーラー服は着てなかったっけ)。

砂子はいつまでも仲良しでいられると思っていたが、そう思っていたのは砂子だけで、ドラとヘンリー達にしてみればもう昔のような仲良しでいることは不可能だったというのも切なかった。

冒頭、女学生時代の砂子とドラが港を出る船を見ながら話す。
「ハマ(横浜)を出る船を見ると寂しくなるわ。」
ラストにはそのハマを出ていく船に自分が乗ることになる砂子。ハマを出る船は寂しい。別れを乗せているから。
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