あなぐらむ

色暦大奥秘話のあなぐらむのレビュー・感想・評価

色暦大奥秘話(1971年製作の映画)
3.2
先日ラピュタの時代劇ポルノ特集でも上映されたようなので。
今では余り話題にも上らない、日活ロマンポルノのもう一つの第一作(同時上映)。初期のロマンポルノ番線を支える時代劇、ド直球の大奥ネタだ。「大江戸捜査網」とかで使ってた時代劇セットの有効活用はここから始まる。

当時20歳(面接時は19歳)の輝く肌と、憂いを湛えた美貌の小川節子扮する女中が体験する夜伽お側務め、お寺&お風呂レズ!
月見里太一(鏑木創)の音楽が印象的だが、演出はまぁ林功なので凡庸で残念ではある。

西村昭五郎との二本立興行の監督に抜擢された林功は、おろおろする西村監督に「やってやろうぜ」と発破をかけたという。日活DBで検索すると1987年までに46本。確かエクセスになってからも撮ってるし、プロデュースも行っている筈(エージェント21かな?)。
初期は小川節子の時代劇ものが多いのは「大江戸捜査網」本編の監督でもあったから。早撮りで有名だったそう。少しは残業してくれ、と会社に言われたとか。

西村組の「団地妻 昼下りの情事」がピンク映画から経験のある白川和子をスカウトしたのに対し、小川節子は数ある女優の中から新人の小川節子に林功が白羽の矢を立てた。
美貌では断然白川<小川。以降、小川は時代劇ロマンポルノの金看板となる(現代劇は脱ぐ芝居が多くて敬遠してたそうだ。村川透「白い指の戯れ」も最初は彼女がキャストされたのだが本人が断り、粟津號が伊佐山ひろ子を連れてきた)。
脇のお局に松井康子など、東映ポルノ、ピンク映画組がキャストされている。

脚本の新関次郎は大工原正泰と松本孝二の共作ペンネームで、大工原先生はロマンポルノでは得意の時代劇から海女ものまで沢山手がけているんだが少々ウェットな話が多い印象(「色情海女 乱れ壺」とか本作)。林功は軽快な話の方が合うと思うんだよね「ホールイン・ラブ」とか。会社の方針だったみたいだけど。
撮影に名手・萩原憲治綺麗な画を撮る(作る、というべきか)人。なお本作、亡くなった片桐夕子が五月由美名義(一般映画時代の名前)で出ているようだ。