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きみに読む物語のtkのネタバレレビュー・内容・結末

きみに読む物語(2004年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

今のこの瞬間、目の前のことに対して丁寧に生きてる人達のストーリーだからこそ、普通の恋愛映画よりも刺さるものがあった。

レミーのどうしようもなく話すぎちゃう所とか、再開した後の空気感と、結ばれた時の満たされた感覚、自分の人生とリンクさせた時色々思うことがあった。

この選択は将来の自分が振り返ったらどう思うのか?
それはその選択をした時には考えようもない事だろうし、それよりもこの選択は人生の中で大きな意味を持つっていう俯瞰した目線を持つ事で、ありえただろう将来は違ったものになると思う。
お母さんがもし昔駆け落ちした人と繋がってたら、今は作業現場にはいなかったかもしれない。
先を知る事なんでできないし、意識した瞬間にその将来は変わりうる。なら将来を見通そうとする試みは無意味だし、充分考えた末の決断なら、それが正解って考える以外に無い。

【個人用メモ】
(最後のシーン)
記憶を辿ってきたからこそわかる二人が抱えてきた歴史を通わせながら人生を終えようとしてる最後のシーン。
人の一生ってなんなんだろう。
俺は人生に何かしらの形を残そうともがいてるから、掴みようの無い人生を儚いものだと思い込んでるんじゃないか。必ず時間は過ぎていく。それを憂いても仕方がない。

鳥で埋め尽くされた湖の中で聞こえる、静寂の中でのオールの軋む音、水をかき分ける音、そして目の前の何年も思ってきた人の確かな存在感。緊張。
手に取るようにわかるその感覚。こういう感覚を自分の人生に生々しく感じたい。

その人の記憶の歴史こそその人そのもの。

今までの記憶をたどりながら新しい経験と向き合う。記憶と記憶をを掛け合わせて積み重ねていくことこそが人生。

若さと過ぎていくこの時間こそが何よりも大切なもの。

人とどれくらい心を通わせられるか。そしてどれだけ人と時間を共有してきたのか。知っている二人についての事がどれだけあるのか。すぐ目の前に手を伸ばせば感じられるくらい、心を動かす経験をどれだけ重ねられるか。それは何度も振り返られるし色褪せないものとして人生に刻まれる。だから時間に気を使おう、

若いときに紡いだどんな記憶も本当に大切なもの。人生を進めていくと、振り返ったときに思い浮かぶ景色、顔、空気感こそが最高に大切なものになる。
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