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きみに読む物語の346のレビュー・感想・評価

きみに読む物語(2004年製作の映画)
3.9
こういうの王道すぎて、斜に構えていたいタイプなので、ずっと手に取れなかったごめんなさい。
かといって、この映画の話になると観てないのも恥ずかしくて知ったかぶりしてごめんなさい。

いや、よくできてた。
こういうシンプルなストーリーが逆にどれだけ難しいか今なら分かるからこそ、色々と関心できた。
例えば小さなシーンだけど、ホテルの電話が鳴って、相手は婚約者に決まってるはずなのに、どこかで期待してしまって、「だぁれ?」って聞いてしまうところの上手さよ。そのあと婚約者との会話が盛り上がらないというあの演出の巧みさよ。

細かいとこをあげればキリがないけど、そういう細部までこだわった演出が、徹底的にわかりやすくしたストーリーラインと上手く噛み合っていて、これぞ王道ラブストーリーという作品に仕上がってる。

のに!!
最後らへんはフワフワしすぎてて、ちょっとダレました。
あそこまで上手にきてたのに、彼女の大事な決断だけは唐突すぎて、それならロイのくだりも少し何かあったろうよ?と生まれた不安は最後まで解消されず、それに加えて、あのドラマチックな流れのあとのリアルな描写が悲惨すぎて。現実に引き戻される感じがすごく嫌でした。

原作に忠実なだけなのかもしれないけど。せめてあのラストシーンは改変してもいいんじゃなかろうか。分かりきっていることをみせるより、その手前で終わるべきだったと思う。これは二人が共に歩いた夢のような日々であって、だからこそ夢の中で終わるべきだったんじゃなかろうかと。


あと、個人的な感情を語らせてもらうと、昔からラブシーンがすごく苦手でそれだけでラブストーリーを敬遠しちゃうぐらいだったんだけど、これは素直に観れた。可愛い最初のラブシーンも含めて、ちゃんと恋愛感情に落とし込んで観れた。そんな自分に、大人になったなぁ。と感慨ひとしお。それなりに俺も恋愛をしてきたんだなぁ…。


※追記
あのラストシーンでいい!という女の子がいたので、なんでなの?と色々と聞いてみると受け取り方の違いに気付いた。その女の子が言うには、「選択なんてもともとないじゃん。あの主人公の男の子の一択でしょ」らしい。
なるほど。これは自分が男の立場なのも大きいのかな。あの選択のあとに、あのリアルなシーンをみせられると、もしかしたらあっちのほうが幸せだっんじゃないかと不安で滅入ってしまうけど、もともと一本道であっちに行くという選択肢はないという視点なら、たらればを考えることなく、こんな状態になっても最後まで寄り添ってくれる主人公の愛の深さを、素直に感動できるのか。なるほどー。
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