マヒロ

独立愚連隊西へのマヒロのレビュー・感想・評価

独立愚連隊西へ(1960年製作の映画)
3.5
上層部の勘違いにより戦死したと思われていた左文字小隊は、何とか生還したものの厄介者扱いを受け、失われた軍旗を探しに敵地に突入するという危険なミッションを請け負わされる。隊長の左文字(加山雄三)と右腕の戸川(佐藤允)の下で任務に挑むが、様々なトラブルに巻き込まれる……というお話。

『独立愚連隊』の続編……とは名ばかりの無関係の作品で、前作の主演である佐藤允も全くの別人の役割となっている。
前作はサスペンス仕立ての戦争映画という感じだったが、今作はコメディ色がかなり強くなっていて、人死も出るが割と明るい作風なのが大きな違い。主人公もニヒルなイメージの佐藤允から爽やかな加山雄三に変わっているのもイメージが大きく変わった要因かも。

言ってしまえばただの「旗」でしかない軍旗を見つけるために命をかけなければいけないという物語からして皮肉っぽいが、日本側も相手となる中国側も明確に善悪に分けられず、良い奴もいれば悪い奴もいる……というフラットな目線なのが実際に戦地を目にした監督らしい描き方で、単なる戦争コメディに収まりきらない生々しさがあって良かった。

ただ、前作と比べるとエピソードの羅列感が強く、主要人物も多いので全体的な印象は散漫になってしまった感じがあったかも。愚連隊全体が主人公扱いと考えたら前作よりタイトルに忠実な作品と言えるが、個人的には前作の方が好きだったかな。

(2022.40)
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