めがねちゃん

オー・ブラザー!のめがねちゃんのレビュー・感想・評価

オー・ブラザー!(2000年製作の映画)
4.0
三人の脱獄囚が1930年代のミシシッピの田舎街を渡り歩く、コーエン兄弟による2000年のコメディ(?)。ミシシッピといえば綿花はもちろん、ブルースやカントリーというイメージ通り、人々がよく歌う映画であった。南北戦争から時代も下り、近代化の波が訪れようとしている時代。エルビス・プレスリーはもう少し後の時代。様々なものが寄せ集まって、次の時代に向けてエネルギーを溜め込んでいるような、そんな時代の映画。

随所に現れるモチーフは、神話的である。預言者のおじいさんや、洪水はもちろん、主人公ユリシーズ・エヴェレット・マッギルの「ユリシーズ」とは「オデュッセウス」に他ならない。ある種の貴種流離譚として理解することも可能であろう。

主人公はちょっとした詐欺師なので、口はうまいが、特に深く何かを考えているわけではないという気楽さが、観ていて気持ちよかった。朗らかなカントリー音楽のせいか、それとも登場人物たちの痛快さのせいか、見終わってすがすがしい気分になっていた。疲れたときにおすすめの映画。
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