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ゆきゆきて、神軍のnapalmloveのネタバレレビュー・内容・結末

ゆきゆきて、神軍(1987年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

奥崎謙三の行き過ぎた行動で滑稽なシーンが数々あるんだけれど、そういう風に感じてしまうのはわたしが戦争を実際体験してないからかもしれない。当事者にしてみれば食料確保のため邪魔な仲間を撃ち殺し遺体の肉を食べていたなんて、こんなに非人道的で恐ろしい事はない。
奥崎謙三の真相を追求するために手段を問わない行動のやり方は時々間違っているんだけれど、事実を覆い隠す人々や世の中に反抗し真実を究明するという行為、姿勢は完全に正しいと思う。
部隊に所属していた、もう38年後の老いた老人たちはそれぞれ家庭もあり平穏な暮らしをしているが出征の詳細を語るときはみな感情が高ぶり涙し、戦争は数多くの人々を犠牲にし、遺族も生き残った人々の残りの人生も破壊してしまう、こんなに恐ろしい事はないと思わせられます。
また多くの人がそうしているように怒りも悲しみにも蓋をして平和に暮らすことよりも、正義感と怒りを行動にして生涯を過ごすということはとっても大変な事だし貫いている奥崎に圧倒されます。
そういった戦争の悲惨な事実と奥崎の存在にカメラをまわし世に出し、力強く訴えたこの映画はすばらしいと思います。
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