戦争を終わらせられない男の戦い。
初めて観た上に、映画館で原一男監督と阪本順治監督のトークつきという贅沢でした。
昭和天皇の戦争責任を問いながら、闇に葬られた南方戦線の従軍で起こったことを40年越しに追及する奥崎謙三のドキュメンタリー。
自身も傷害致死で服役した奥崎が、死んだものたちを弔い、死に至らしめたであろうものたちが封印した記憶の蓋を剥がしに行く様は、時に笑ってしまうほど苛烈な生き様だった。
特にクライマックスの正月の埼玉での問答は、8割くらいは相互理解しているが故にバチバチになるのが面白かった。
その辺は監督がドライに奥崎の言動をただ捉え続けることに徹しているあたりが大きいと思った。
そこに横たわる映画作りの業も含めて。