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鉄道員(ぽっぽや)のmajimakiraのレビュー・感想・評価

鉄道員(ぽっぽや)(1999年製作の映画)
4.4
改めて鑑賞すると、ほんとうに、それまで味わったことのない、静かに揺さぶられる感動の大きさを再発見する。

雪深い北海道の、廃線間近の路線の終着駅で、不器用に鉄道員一筋で、他に何もできない気持ちで務めてきた駅長・佐藤乙松。
ただただ正直に、少しの弛みもなく務める傍らで、喪った娘と妻、そしてそこに、意識せずとも染み込んだ淡い後悔。

定年を控え、そんな気持ちと、それまで意識していなかった孤独が、そんな彼の背中を押すような、或いは慰めて未練を断ち切るような、優しい奇跡に彼を誘なう。

その奇跡の、束の間の時の中で、一思いにさまざま気持ちを吐露する乙松の姿に、冒頭に書いた、なんとも言えない、未体験の感動を覚え、20数年ぶりにただただ涙してしまった。

高倉健さんも、田中好子さんも、志村さんさんも、ここでまた逢えて嬉しかった。
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