Kamiyo

恋愛専科のKamiyoのレビュー・感想・評価

恋愛専科(1962年製作の映画)
3.8
1962年 ”恋愛専科” 監督.脚本デルマー・デイヴス
55年ぶり2回目の鑑賞。
ずっと前に見たことがある、高校生頃に福岡センターシネマで、僕には女優スザンヌ・プレシェットが印象に残ってる。何処か東洋的な印象あり
他愛のないアメリカの恋愛映画なのだが、バックに流れる主題曲のカンツォーネ「アルディラ」の情熱的なメロディーと共に、妙に印象に残っている映画。
原題は、"Rome Adventure"(ローマの冒険)で、イタリアにやって来たアメリカ人の若い男女のラブ・ストーリー。
Al di là(アルディラ)は、映画で聞いているだけでも
酔わされる情熱的なメロディなので・・・

ヒロインのスザンヌ・プレシェット、ここではリズ似の美貌をカメラがアップで何度も捉えてくれている。
いわゆる美人女優だと思うのだけどブレイクすることなく終わってしまったようだ。
リズは二人いらないということだろうか。

本作はあきらかに彼女の映画だと思うのだが
クレジットの先頭は相手役のドナヒュー。
続いて恋敵であるアンジー・ディッキンソン。
そして物分りの良い中年紳士ロッサノ・ブラッツィと続く。そのあと彼女の名前がようやくクレジットされる。
4番目扱い。
まあデビュー2作目ということなのだろうが主演女優なのに可哀想な扱い。
何かその後の彼女を暗示するような立ち位置だ。

イタリアが舞台の恋愛映画と言えば、「ローマの休日」と「旅情」が有名で、特に後者はキャサリン・ヘップバーンの名作だった。「恋愛専科」は、この二作とは内容的には比べものにならないが、青春映画としてういういしさがあり、良く出来ていたように思う。
スザンヌ・プレシェット、当時エリザベス・テーラーの再来と言われた新進の美人女優だ。
黒髪でやや地味だが、清楚な可愛らしさがあり
小柄で日本人好み。しかも意外にグラマーで
ヒップも大きく多産型の女性のように思えた。
この映画で彼女はプルーデンス(慎重)という名前の控えめな女の子を演じている。

大学図書館の司書をつとめるスザンヌ・プレシェットがロマンス小説「Lovers Must Learn」を生徒に貸し出したことを大学当局に咎められるシーンで始まります・・・
図書館司書の彼女が学校側から難癖をつけられてブチ切れ、辞表を叩きつけてローマへと旅立つ開巻。
「一人旅なんて何かあったらどうするの?」と母が心配顔。「何もない方が心配よ」と返す娘。
いいね。一人娘の恋の冒険映画らしいセリフ。

イタリアへ恋人探しの旅に出たものの、なかなか自分の殻から抜け出せず、書店でアルバイトをしている。
しかし、そこは恋の街ローマ。
イタリア人の中年紳士ロッサノ・ブラッツィに言い寄られ、恋の手ほどきを受けたりしながら、次第に同じ下宿に住むアメリカ人の若い画学生に惹かれていく。

この画学生を演じるのが、金髪緑眼長身の美男子俳優
当時人気絶頂のトロイ・ドナヒューだった。
『引き締まったボディのトロイ・ドナヒューは当時流行のビーチムービーの花形となり、1950年代後期から1960年代前半にはティーンのアイドルスター・・・北欧系で金髪に青い目、スラりと背が高く、ハンサムでマッチョな"トロイ・ドナヒュー"はニューヨーク出身の俳優~~~実際の年齢よりずっと若く見え、甘いマスクのドナヒューはWarner Brothers(ワーナー映画社)のドル箱スターでした!!』wikiにて 

ローマで早速イケメンのドナヒューを見初め交際が始まるという段取り。ローマに限らずイタリアの名所旧跡ガイド
ともかく観光バス旅行の後のリフトで上った山頂でも"アルディラ"が流れ、サン・ピエトロ寺院、水道橋、円形劇場コロッセオ、トレビの泉、ネプチューンの噴水やムーア人の噴水、ダビデ像のあるアカデミア美術館や伝統芸の旗回し、ピサの斜塔などイタリア観光が楽しめます!!
ご丁寧に二人乗りスクーターでバカンスを楽しんでいる。

今でも覚えているのは、野原でのデートのとき、猫じゃらしのような草でドナヒューがプレシェットの鼻とか脇の下とか、つまり性感帯をくすぐるシーン。
ヴェローナでロミオとジュリエットを気取る二人。

そんなバカンス気分のふたりに割って入るドナヒューの元カノ、ディッキンソン。彼女の登場で雲行きが怪しくなる。あの「殺しのドレス」で欲求不満マダムを演じた人だ。男を誘惑する色香の濃さはこの頃からだったか。
もっとも「殺しの~」で魅せた熟れた色気にはまだ及ばないが。それでもドナヒューを利用するだけ利用するいけ好かない女役がハマっている。

トロイ・ドナヒューにセクシーな年上のガールフレンドがいたことを知りショックを受けたスザンヌ・プレシェット・・・
イタリア風恋愛テクニックを学ぼうと一度はスザンヌに言い寄ってきたロッサノ・ブラッツィのもとを訪れますがプレイガールにならないようにと諭されてしまいます!!

傷心のスザンヌ・プレシェットはアメリカへと戻ったのですが港にはなんとイタリアにいるはずのトロイ・ドナヒューが待っていたのです!!

恋の冒険にやってきた割には夜の方は遠慮気味なプレシェット。そんなところが時代を感じさす。
男との相部屋は許さない。一線を敷く。猥褻小説と批難された「恋愛専科」を生徒に貸出したわりに意外と奥手なプレシェット。その反省が最後の抱擁へと繋がるわけだ。

さて、この映画には余談がある。主演の二人が現実に電撃結婚してしまったのだ。そしてなんと数ヵ月後に離婚。
その後、二人とも映画スターとしても落ち目なり、スザンヌ・プレシェットは、大女優エリザベス・テーラーの足元にも及ばぬまま、終わってしまう。
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