ゆきゆき

デビルズ・バックボーンのゆきゆきのレビュー・感想・評価

デビルズ・バックボーン(2001年製作の映画)
4.2
ギレルモ・デル・トロ監督作の中で、最も暗い雰囲気を持つ映画だと思う。スペイン内戦下の孤児院を舞台としたゴーストストーリー。

監督3作目ながら、その後の作品に通じる要素がそこかしこに散りばめられている。閉塞感がある時代設定、生者と死者の境界線の曖昧さ、絶望の中の希望、暗い背景を持った悪漢・・・。冒頭から映画の世界に一気に引き込まれる画作りもさすがです。

カルロスの行動が周囲の子供たちを巻き込み、いじめっ子だったハイメがリーダーとして活躍する様は、児童文学的でもありとても好ましい。しかし悪漢によって多くのものが奪われ、最後に旅立つ彼らの前途は苦難の道であることは想像に難くない。

賛否両論あれど、基本的にはハッピーエンドなラストが目立つデル・トロ作品においてこの後味は珍しい。とはいえ『ダーク・フェアリー』など製作に関わった作品には似た雰囲気のものがあるので、紛れもなく監督の持ち味のひとつなんでしょうね。
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