ゆっこ

デビルズ・バックボーンのゆっこのレビュー・感想・評価

デビルズ・バックボーン(2001年製作の映画)
4.0
「パンズ・ラビリンス」「永遠のこどもたち」「ロスト・アイズ」そして「MAMA」でも感じた、監督の「死」についての概念のようなものの原点な作品なのかも?

死してなお。
死んでこその生。
そこに纏い付く少しのロマンティックな香り。

そんな感じを、監督の関わるこの手の映画からは受けるのです。
死ぬ事は、0ではないと強く願っている。
自分にも他人にも何かを残せる。
安らぎを得られる。
死ぬ事が、生き抜くこと。
死後の世界は悲しいけど優しくもある。
死に対して、死んでいく人に対して、優しい夢を持ってるような。
その辺りをロマンティック、と感じるのかな。

さて。この映画は、スペイン内戦の只中にある孤児院が舞台。そこへやってきた少年が幽霊と出会う。しばらくして、ある事情で孤児院自体にも炎がふりかかる…というあらすじです。

確かに幽霊が出てくるけど、戦下の孤児院で暮らす子供と大人の生き様を描いたある種の戦争映画のような印象が強いです。

赤く乾いた大地に立つ孤児院、その真ん中にドンと突き刺さる大きな不発弾。そこに幽霊が出る。
これだけでデルトロ監督らしい「風情」のようなものを感じます。

そんな二つのものに囲まれた、優しい大人に悪い大人にかっこいい大人、悲しい大人、健気に頑張る子ども達。
容赦のない現実の中で、彼らはどう生きてどう死ぬのか。

ラストシーンとその台詞が、エンドロールまで余韻の残る哀しさ。そして愛しさとたくましさ。
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