Moomin

花と兵隊のMoominのレビュー・感想・評価

花と兵隊(2009年製作の映画)
4.7
ドキュメンタリーの映像として、今しか撮ることのできない、今しか伝えることのできないものを20代で撮った松林監督は凄い

太平洋戦争敗戦後、タイ・ビルマにおいて日本に帰らなかった『未帰還兵』 彼らを描く物語

彼ら…と言ってもみな80から90代の方
そんな彼らが敗戦後、なぜ残ったのか。そこに限られた答えなど存在せず、人それぞれのドラマ(物語)が存在した

一見、家族のお話や、どのような和んでいったのか 「今は帰らなくてよかったと思っている」そんな答えのような風景に見えるのだが、一つ戦争に関する突っ込んだ質問を投げかけた時、その答えは鳥肌モノだった
言葉に詰まる姿はやはり画として観客に伝わってくるものがある
「人間を食べたのですか」

もう一つ
「虐殺に関わったとお聞きしたが…」
「上の人に命令された…」
「夜と霧」のアウシュビッツ収容所の看守と同じ答えである
ただそう答えた藤吉さんもまた、慰霊碑を作り800もの遺骨を埋葬すると
戦争の時の気持ちなど今の自分に分かり得ることなどできないと痛感すると共に、今の自分にできることは歴史を知ること・限られた生の声を聞くこと それに尽きるのかと
パッケージを見た所、坂井さん・中野さん・藤田さん・伊波さんが亡くなったのこと
ドキュメンタリーは映像として残すことの意義も強くあると実感した

わがままを言うなら、ご高齢ということで全てに字幕をつけてほしかった…
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