ShinMakita

マシンガン・パニックのShinMakitaのレビュー・感想・評価

マシンガン・パニック(1973年製作の映画)
1.9
☆mixi過去レビュー転載計画(刑事・警察洋画編)




〈story〉
サンフランシスコ、チャイナタウン。走行中の深夜バスの中で、最後部座席の乗客が突然サブマシンガンを車内で乱射し逃走。結果、乗客8人と運転手が死亡した。血みどろの現場に到着した市警刑事ジェイク・マーティンは、被害者の一人が相棒のエバンズ刑事と知りショックを受ける。エバンズはその日非番であった。婚約者がいる身でありながら、美女の隣で絶命していたエバンズ。マーティンは、エバンズが愛人とデートした帰りに事件に巻き込まれたのだと解釈した。

翌朝から、マーティンら刑事たちの執念の捜査が始まった。ホシは単なる無差別犯か?それとも、誰か一人を狙っての凶行だったのか?マーティンは新たな相棒ラーソン刑事とともに、被害者一人一人の背景を丹念に洗い出していく。一人だけ身元不明の刺青男がいたが、残りはすぐに名前と住所が割れたのだ。もちろん、ホシが使用したサブマシンガンの線も忘れない。町の武器商人にあたり、最近サブマシンガンを欲しがった客のリストアップも行うつもりだった。しかし、捜査はすぐに行き詰まる。被害者のほとんどが、マシンガンでぶち殺されるような理由を持っていなかったのだ。エバンズの横にいた美女はレズの看護婦と判明、偶然エバンズの横に座っただけの女と確認された。残るはエバンズと刺青男の背景だけだ。なぜエバンズは深夜一人でバスに乗ったのか。刺青男はいったい何者なのか・・・


➖➖➖
スウェーデンの〈マルティン・ベック・シリーズ〉をアメリカにおきかえた一本。北欧の87分署、と言って良いかもしれませんね。この「笑う警官」、シチュエーション的には87分署の「クレアが死んでいる」…映画では市川崑の「幸福」に似てますからね。ちなみに日本の作家の中にはこのシリーズが好きな人が多く、特に佐々木譲は、自身の北海道警シリーズの一篇に同じタイトルをつけてます。それを角川春樹が映像化したちょっとアレな映画が同タイトルの「笑う警官」。ハナシが全く違うのでお間違えなきよう。
さて本作は、ベテランのジェイク(ウォルター・マッソー)と態度の悪い中堅刑事レオ(ブルース・ダーン)のコンビが超地道に聞き込みを続けていく作品で、派手さはありません。足の捜査というやつで、坂の多いサンフランシスコが舞台ってのはピッタリでした。とにかく坂・坂・坂で(苦笑)。私がサンフランシスコに行ったときの思い出も、この坂とケーブルカー、そしてフィッシャーマンズワーフのクラムチャウダーの味ですねえ。

サンフランシスコ警察は、刑事映画ではおなじみですね。ロスと異なり、皆ヒーローばっかりですが(ダーティハリーしかり、ブリットしかり)。あまり治安が悪い印象は無かったです。ちなみに、この「笑う警官」のなかでも、ヒラ刑事ラーソンが「インスペクター・ラーソン」と自己紹介するシーンがありました。サンフランシスコの刑事=インスペクターという自説が今回の再観賞で裏付けられたようです。

キャスト的には、課長役で70年代の名脇役アンソニー・ザーブが、熱血黒人デカ役でルイス・ゴセットJr.が、そして証人役でジョアンナ・キャシディが出てきますが、何よりマッソーの渋さが光る佳作です。
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