イワシ

マシンガン・パニックのイワシのレビュー・感想・評価

マシンガン・パニック(1973年製作の映画)
4.5
暴力に対するウォルター・マッソーの諦観が、軽薄なだけに見えたブルース・ダーンにも共有されていたとわかる口論の場面が目が醒める程すばらしい。陰鬱さを抱えながら、薄い退廃に包まれた街を歩き回る刑事達を捉えたデヴィッド・M・ウォルシュの撮影も見事だった。中盤の立てこもり事件の場面も良かった。アルドリッチ『ハッスル』のように、暴力に絶望していた時代の厭世観がいやでも伝わってくる。このシーンは、ウォルター・マッソーが暴力の因果の中に踏み入れるさりげない契機となるシーンなんだが、人質がまた苦い顛末をたどるんだよね。あと、トラックでゆっくり運ばれていくバスの横を歩いていくウォルター・マッソーを捉えたショットが超カッコ良かった。ショットの終わりにカメラが上にパンして、なにかシンボリックなビルが映るんだけど、あれはなんてビルだろう?
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