ベビーパウダー山崎

ボディ・バンクのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

ボディ・バンク(1996年製作の映画)
3.5
冒頭のくだりでヒュー・グラントの倫理観をテストし、それがフリとなってクライマックスの選択につながる流れ。最も親しい人物が相手側の隠し玉で刑事を助けたことによって救われたりもする、トニー・ギルロイのシナリオは改めてよく出来ている。医者として「正しい」決断をしたグラントに渡される最後の遺物が「悪魔の書」になる可能性も充分にあって、ラストのラストで再度、己の倫理観を揺さぶって終わる。こういった不穏な幕切れはベタだけどとても好き。
社会的弱者の障害者が社会で孤立している更に弱いホームレスを食い物にする図、それに加担するジーン・ハックマンは金のためというより本気で治療したいというマッド・サイエンティスト的なキャラクター。アクションのくだりは目を楽しませる花火程度だが、医療絡みのサスペンスは映画(娯楽)の基本。面白かった。