噂には聞いていたけれど、始めから終わりまで、本当に青一色でびっくり。
観たVHSには字幕がなかったので、正真正銘のブルーだった。
*
「青よ、出よ」
「青よ、湧き起これ」
「青よ、立ち昇れ」
「青よ、満ちよ」
目に見える動きはないが、青はただ静かにそこにあるだけではない。
青い思索は、ときに楽園の穏やかさ、ときに異国のあやしさ、ときにディスコの騒がしさを、自在に散策する。
「ブルーには限界も解答も存在しない」
病で失われゆく視覚。
「ブルーは目に見える闇の色」
冷たく死が迫る。
「ぼくらは床を磨き
洗い物をした
いつ終末が訪れてもいいように」
それでも。
最後にたどり着いた、青い海。
すべてをあきらめ、やがて行き果てるのではない。
「静まりかえった海の底に
ぼくらは横たわる」
ブルーは、新しく懐かしい夢を見せるゆりかごの豊かさだ。
*
静かな夜に観たくなる映画だった。
部屋の片隅で、静かに息をしていていい時間。聴こえるように息をしなくていい時間。
北図書館にて鑑賞。