ダイナ

ホーリー・マウンテンのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

始まりから終わりまで前衛的かつ衝撃度の強い映像に頭を揺さぶられます。エル・トポと同じく大まかなストーリーはしっかりしていますが、細部の演出は複雑怪奇ミステリアスかつシュールでグロテスクでセンス尖りすぎたアイデアの宝庫。台詞は少ないけども若干エルトポより多い?音楽は可愛さ要素が増えたような気がしてギター唸るBGMは新鮮。カラフルな塔内部や回想シーンでの小物など、色彩がとても豊かになり芸術的な感覚がより刺激されます。

塔の虹色の大部屋を警戒しながら歩くシーンがとても好きで、ここからサイケデリックさが加速してく印象です。富豪の2人目の説明に入った時は「これ全員回想すんの?」と身構えましたがここの掘り下げがとても濃い!一人一人の背景が濃すぎて、クソデカ銃や睾丸コレクション、前衛アート、特にラブマシーンなんかはこいつだけでも話を膨らませられそうなアイデア、こういった曲者達が集まり一つの目的を目指す…悔しいけど面白い。金を燃やし、自分達の人形が一気に燃える映像も大迫力。水平移動おじさん普通にすごいのにスルーされてるのは笑えます。

ハマった人もクソ映画と思った人もひとまず監督のコメンタリーを見ることをお勧めします。(DVD特典についてました)解説より本作はメタファーだらけであることを知ることができます。予想以上に各行動やモチーフの意味を丁寧に解説していて、盗賊(主人公?)の心境がこれこれこうだからこういった行動を起こしているという話はとても面白いです。ジオラマのカメレオンとカエルの衝突がアステカとコロンブス一行、ナチスの邂逅を表現しているという話。シーンは好きなんですが、ここの爆発実際に殺してないかね…。各富豪達の解説も面白い。まあ解説見て全部理解できるかと言われたら殆ど分かんねえ!ただ確実に本作への理解度は上がるので、ホドロフスキーの思考を覗きたい方は必見です。

エル・トポでも感じたことですが、モブ含め登場人物がとても多い!全員どういう映画に出ているのか話は聞いているのだろうか。そして動物も多い。サル、ラクダ、カバ、ワニ、ペリカン…動物も象徴として採用されているとのこと。画面内で蠢く生命の多さはハリウッド大作に引けを取らないんじゃ無いでしょうか。脳の処理が追いつかないシーンの連続ではありますが、退屈さは微塵も感じさせられず。ラストシーンの衝撃、数ヶ月ぶりに映画観て声出して驚いちゃいましたね。
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