マヒロ

ホーリー・マウンテンのマヒロのレビュー・感想・評価

ホーリー・マウンテン(1973年製作の映画)
4.0
こう言ってしまうと色々と誤解を招きそうだけど、カルト作と名高い今作、普通に楽しめた。

最初のキリストもどきみたいな青年がてんやわんやしてる一連の流れでは正直これアカンなと思いつつ観てたんだけど、そんな青年が聖なる山に登るための仲間を紹介されていくシーンから、加速度的に面白くなっていく。なんせ、この仲間達がすさまじくクセが強すぎる。変態芸術家に面白武器商人、世紀末警察官などなど、どいつもこいつもいちいち衝撃的なキャラクターばかりで、ここはもはやコメディ。ものすごくぶっ飛んでるのにノリがクソ真面目というのもまた笑いを助長させる。ここら辺は観てない人は是非映像を観て確認してもらいたい。絶対おったまげるから。後、この人たちの紹介から、どうやらこの世界は近未来で何やら国同士の関係が非常にピリピリしているようだということがなんとなーく感じ取れるものの、別に物語に関わってくるようなところでもないので余り気にする必要もなかった。

中盤がピークで、くだんのホーリーマウンテンに登り始めるとまたジワジワトーンダウンしていっちゃうんだけど、ラストでホドロフスキーさん、再びとんでもないものをぶっこんでくる。それまではサイケな映像と予測のつかない展開でトリップ映画みたいな雰囲気ムンムンだったのに、そのラストだけで完全にちゃぶ台返しをするような感じ。ここであえて空気をぶち破ることで、ただの適当なドラッグムービーではない、監督の信念というか本当にアナーキーな部分が感じられてなんか安心した。ヤバそうだなと思って敬遠してる人、是非観てみてほしい。
(家族とか友達、恋人と観るのはオススメしないが!)

(2015.68)
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