人間性をいったん崩壊させることで、人間とはなにかということを客観的に認知させ、最後にこんな嘘ばっかりの映画見てるんじゃなくて、現実に生きろ!
と説教される。
凄まじい映画だった。
最初期に
秩序を保っているように見える西洋社会ですら野蛮な侵略の上に成り立っていることを明示した瞬間から引き込まれた。
カエルの戦争。(インカ帝国的世界観の破壊)
宗教・食べ物・セックス・国家
人間が信じているありとあらゆるメタファーがぶっ壊され、私たちは人間を取り戻す。
中でも最大の魅力は
世界中の金持ち達への痛烈な皮肉。
化粧品業界の暗喩として
人間は中身より外見で愛されたがるから精巧なマスクを作る会社
(女性の奴隷化)
兵器会社
人間の性格をコントロールするという意味での兵器。
人を獰猛にする。
誇大妄想癖を負わせる。
子どもに洗脳するメディア。
ありとあらゆるものを握る彼らが
ありとあらゆる欲望・煩悩を捨てる旅に出る。
しかし、それは逆に人間とはなにかを認知させる。
映画がカルト化することを見越してラストシーン痛烈に一撃をかます。
こんな作品二度と見れないし、作れない。
いわんや日本をや。
カメラワークやショットは退屈なところもあったが、美術・展開ともに満点。