のりまき

ナイロビの蜂ののりまきのレビュー・感想・評価

ナイロビの蜂(2005年製作の映画)
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「テッサ」

フェルナンド・メイレレスの手腕の見事さ!
妻の疑惑をひとつずつ晴らすごとに愛を再確認していく男に、女に振り回されることにかけちゃ天下一のレイフ・ファインズ。面白いほどTシャツが似合わない。
強く美しい女をすっぴんで体現したレイチェル・ワイズ。テッサという女戦士が「生きて」いる!
70年代のように低めに構え、あるいは遠景から追いまくるセザール・シャローンのカメラ。映し出される広大な自然。そして暴力。カーチェイスや襲撃が胸苦しいほどの怖さなのはカメラマンの肉体感覚があるから。アフリカの子供たちと歩き、逃げ、移動、回想する。そしてテッサに恋している。
「ストーリーというのは二の次で、人の品性や感情を書くための枠組みでしかないんだな」ということを改めてしみじみと思った。小さな子供すら同乗させることを拒否するパイロットが主人公を通して観客に突きつける「現実」。
そして構成。葬式から巻き戻される展開はありがちともいえるが、ラストシーンはとてつもないカタルシスをもたらす。
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