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ナイロビの蜂のAのレビュー・感想・評価

ナイロビの蜂(2005年製作の映画)
4.1
貧民はモルモットにされるのみ。
それをいくら企業の良心に訴えかけても、我々の豊かさが貧しいの人々の屍の上にあることは否定できない。行き過ぎた資本主義は、人の生き死にをも分けてしまう。その仕組みの中で生きていく以上、その事実から目を逸らすことは許されない。

企業と癒着している現地の高官も、その行いが自国をより一層貧しくしていることに気づいていない。アフリカのように貧しい国の場合は、労働・生産・消費が自国で完結する共産主義のような形をとったほうが健全な国家を運営できそうだ。そうしないのは、国民を先進国の企業に差し出した方が手っ取り早く金が手に入るからだろう。金を介して、「植民地」と「宗主国」という支配関係が成立してしまっている。こんな形のまま国家を運営していては、貧困が解決されるはずもない。

何年支援してもアフリカが豊かにならない理由はここにある。資本主義の恩恵を一身に受ける先進国は、貧しい途上国があった方が都合が良い。なぜならそこは人体実験をしても、低賃金で人を働かせても、ゴミを押し付けても責任を問われない夢のような場所だからだ。近年ではSDGsなどと謳われているが、格差社会を是正する気など先進国には毛頭ないだろう。


2023(39)
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