カテリーナ

ユア・マイ・サンシャインのカテリーナのネタバレレビュー・内容・結末

ユア・マイ・サンシャイン(2005年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

W杯に湧くテーハミングの合唱

実話を元にした物語というテロップ
今作の情報は入れない状態で鑑賞したのでまず、この一文で心を乱されるであろうと覚悟を決めた
2005年製作の背景には本編でも映像が流れるFIFA W杯の開催で明るい側面とHIVの暗い影が社会を覆っていた時期だったんだ
田舎の牧場で働く朴訥な青年のインナム(ファン・ジョンミン)と暗い過去を背負う純喫茶で働くウナ(チョン・ドヨン)の
エイズの壁を乗り越えた純愛を貫いたふたりの恋物語
アクションシーン無しのファン・ジョンミンは初めての体験かも
36歳独身の田舎の青年を巧みに演じる
腰の辺りや顔の周りの肉付きがさりげない所に彼の役作りまたは、監督の細部な拘りが窺えてニヤニヤ 
純情と一途さ故にウナを求めて雨降る夜の闇に消えていく姿は痛々しさすら感じる
チョン・ドヨンのウナもファン・ジョンミン同様に秀逸
本当は優しい性格なのを隠して敢えて意地悪い女を演じ 自分に好意を持つインナムの純情を弄ぶ DVによって身も心もボロボロにされた過去を拭いきれずに素直に愛を受け入れる事に臆病になっていた
ウナはインナムの優しさに次第に絆され愛を受け入れる 
初めは反対していた姑も献身的にインナムを支え家事をこなすウナを家族として認める
結婚後は幸せな時間が2人を包む
満面の笑顔を見てると意地悪な映画的フラグがそこかしこに立ちはじめる 初めは
DV男の登場、その後はHIVに感染してる事を隠し客をとっていたことが告発され
ウナが警察に連行かれ裁判になる
そこから不幸への階段を転げ落ちる事になるのだ

今思えばこの後の不幸のどん底に突き落とされるチョン・ドヨンの芝居はこの次の彼女の代表作『シークレット・サンシャイン』へと繋がっていたんだなぁ

ラストシーンはハッピーエンドで輝くようなチョン・ドヨンの笑顔が見れるが
そこに辿り着くまでの彼女の葛藤と流した涙の量 インナムの諦めない心が無ければ結ばれなかった2人の強い強い絆を感じさせる作品だった

追記
是枝裕和監督への良質な映画に必要なものをインタビューで言及していた 
"深さと強さ"がこの作品にはあると確信した
カテリーナ

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