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殺人の追憶のyksijokiのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
3.7
焦燥感の継続性が強くていいテンポ感で進んでいくサスペンス作品でした。
ソンガンホ側の田舎刑事がずーっとアホで本当にイライラする。韓国映画あるあるの田舎の警察がどアホ展開でご愛嬌という感じだけどちょっと許しがたいイライラさがあった笑

最終的な着地も含めてポンジュノだからこその当時の警察の捜査手法や暴力的な尋問、えん罪などに対する社会的批判性も含めて物語の中できちんと表現していたところは非常に面白かったしよかったと思う。少し刺激的には描いているんだと思うけれどこういうことが横行している時代だったということだと思うしこのリアリティをぱっと見は非現実的に描くのが流石だなと思ったりした。

個人的にはあるあるとはいえやはり警察側がアホすぎるのがちょっとイライラしてしまったし、冷静さを欠き過ぎている点が共感しにくかった。拷問を繰り返す警官とTVで流れる拷問による冤罪の逮捕事件の映像とが重ね合わせながらも体制に対する批評性をある程度そこで向けているんだと思うけどもあまりにも論理性が伴っていなさ過ぎてなんか興ざめしてしまった。

ラストカットの重みはなかなかズーンときた感じで良かったしキムサンギョンのソ刑事がかっこよくて素晴らしかった。最後にかけて精神が狂っていくというかああいう形になってしまうことへのやるせなさも感じた。

最後までどういう展開に話がなっていくかも分からない中である種の当時の捜査の限界というか物証はない、DNA鑑定はできない中で自白させることで解決するしか方法がないという中での悲しさや限界点みたいなものは感じた。

殺人の方法の猟奇性というか小説っぽい卑猥さには驚いた。あれは本当に変態だなと思ったし真意がないところも含めてシリアルサイコキラーだなという感じがとても良かった。
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