あき

殺人の追憶のあきのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
4.3
1980年代後半に起きた10人連続強姦殺人の実話を元にしたサスペンス。
映画好きでなんでも観るぼくの中でも韓国映画はなぜかしっくりこなくて、本作と同じポン・ジュノ監督作品「パラサイト 半地下の家族」(2019)でさえ面白さが全くわからず中断を重ねて観終えるのに1ヶ月も要してしまったほどだっただけに、韓国映画は自発的にあまり観ないんだけど、
地上波ではなかなか流せない内容の作品を意欲的に放送するBS12で流れた本作を録画視聴してみて衝撃を受けた。
暴力を用いた自白の強要と拷問、証拠の捏造による冤罪の誘発によって結果的に真犯人の再犯と逃亡を助長させてしまうのはかつての日本でもあったことだけど、それが迫真的で思わず観入ってしまう展開。
感情のままに動く男と科学捜査を推進する冷静な男のコンビで捜査が進展していくが、
あまりに連続する猟奇的な事件に冷静だった男がだんだん怒りの感情の抑制が効かなくなって暴走していく様は感情移入してしまう。
そして実話なだけに創作と違って都合よく終わらないラストシーンに一気に底知れぬ虚無感に陥れられる。
これは観たらしばらく浸る破壊力がある映画だ。
あき

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