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殺人の追憶のmのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
3.5
ソン・ガンホさんのラストの表情がとてもいい。監督が犯人に問い掛けているような、それでいて、パク刑事、自身の無知さ、偏見に驚愕しているような表情。とても惹き込まれるラストだった。邦題が秀逸な作品だったと思う。

ようやく観ることが出来たポン・ジュノ監督の今作。1980年代後半に発生した華城連続殺人事件という実話に基づくらしく、今作は明確なラストは用意されていない。

今作、凄く嫌だなぁと思ったのは軽度から中程度の知的障害者を犯人に仕立て上げていく捜査方法を描いていることだった。犯罪は怖いし犯人には許せない気持ちでいっぱいになっていったが、警察側の捜査で、知的障害者を乱暴に扱う様が凄く不愉快で複雑な気持ちになった。だから、観終わった後に、監督嫌いになりそうになったんだけど、ラストの描き方がとても良くて、「あぁ、それをスパイスにしたかったんだな」と気付く。
今作は【偏見】や【決め付け】が隠れている。刑事というのはある程度、ヤマ勘で動くことがあるかもしれない。それでもそこにひそむ偏見を監督は批判しているのかもしれないと思った。DNA鑑定ができないなど時代の杜撰さというよりは、そこの批判がメインに思えた。

ソ刑事(キム・サンギョンさん)が唐突に怒り狂うのが少しだけ疑問だったのはある。冷静沈着な刑事だったから、もう少し段階を得て狂気的になって欲しかった。こういうことは実際にあるんだろうけど。

映像作りは素晴らしかった。夜道を歩きたくないカメラワーク、レイプシーンは女性は辛いくらいの描き方。
『パラサイト 半地下の家族』と同様、匂いが立ち込めてくるようなどろどろとした空気感。素晴らしく怖かった。臨場感もあり、集中力が途切れなかった。さすが。

このFilmarksで知ったんだけど、華城連続殺人事件の犯人今作の映画観ていたらしい。ほんと胸糞悪い。

ストーリー : ★★★★☆
映像 : ★★★★★
設定 : ★★★☆☆
キャスト: ★★★★☆(ラストのソン・ガンホさんに)
メッセージ性 : ★★☆☆☆
感情移入・共感 : ☆☆☆☆☆

cc/おまえが殺ったことを憶えているか?
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