証拠が少ないためか、当時の捜査方法が後進的だったのかはわからないが、捜査の詰めが絶妙に甘い。それを面白おかしく描いていて、サスペンスとコメディを同時に実現できることに驚いた。
無能(に見える)で古い考え方を持つ暴走気味の刑事とその暴走を理性的に抑えていた若い頭脳派の刑事が、犯人が見つからないあまり追い詰められ、立場が徐々に逆転していくのが印象的だった。また、事件を取り巻く人間たちの醜悪さをメインに描いたことで、観る側はこの映画を単純なサスペンス映画として観終われない。それがこの映画の素晴らしい点だと思う。
最後に元刑事が観客の方をガン見しながら物語の幕を閉じる演出をみて、これは一体なんなんだ?と思っていたが、「現実世界でこの映画を鑑賞しにきた野放し(だった)の真犯人の方を作中の元刑事がジッと見つめている」という構図らしい。
音楽も素晴らしく、一度観たら忘れられない。韓国の映画はすごい。
2023(33)