たにたに

殺人の追憶のたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

殺人の追憶(2003年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

【雨の夜に1人で歩いてはダメ】2023年90本目

韓国で実際に起きた連続強姦殺人事件が題材。
事件を捜査するのは現地の2人の刑事と、ソウルからやってきた責任感強い若造刑事ソ・テユン。

現地の捜査体制は完全に崩壊している。
村人たちは事件現場に平気で立ち入るし、鑑識の到着も遅すぎるという連携の甘さ。
2人の刑事はというと、1人は取調室で執拗な暴力を繰り返すし、ソンガンホは「俺は見る目がある」という調子ノリな面がある。
目の前の容疑者をとにかく犯人に仕立て上げようと、偽装工作さえする。
この事件が映画公開当時、未だ解決されていなかったことが何故かがここから伺える。


さて、ソウルからの刑事の男ソ・テユン。彼も捜査に加わるも、ソンガンホらとはどうもウマが合わない。その最中、事件に関連するいくつかの"条件"が浮上する。

雨が降っている日。
そして、ラジオで"ある"曲が流れている日。

その曲をリクエストしている男が犯人なのか。未遂に終わった女性被害者からの情報とも重なる。現場にあった精液と彼のDNA鑑定が行われることに。しかしこれまたアメリカに送らないと分からないという、体制のずさんさが顕になる。

こうしているうちにまたもや殺人が起きるのである。その被害者はソテユン刑事が以前出会った女子高生。
精神状態もおかしくなる。
落ち着き払っていたソテユンは、DNA鑑定結果が出る前に容疑者に執拗に暴行を加える。そんな時アメリカから手紙が。
その結果は。。


ポンジュノ監督お馴染みの、焦らし焦らし前に進まないもどかしさがこの映画でも楽しめる。堂々巡りで解決しない事件のように。

韓国田舎町の警察の体制に対する皮肉。
トンネルを利用した迷宮入りのメタファー。

目の前の絶望を受け入れるしかないのか。
最後の側溝を除くシーンもゾッとする演出だ。まだ犯人はどこかで生きているんだ、と。

ソンガンホの工事現場で逃亡者を見極めるシーンは印象的です。確かに観察眼はある。
それを見たソテユンも彼を認めた瞬間かなとも思う。
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