トラフィックの観々杉のレビュー・感想・評価

薬物取引を様々な立場で描く。映像センスが優れており、ぼやけた視界によって微かな不安や幻想が生まれている。映像の色味を使い分けることで雰囲気を作るだけでなく非線形の物語が苦手な視聴者でも物語を追いやすくなっている。他の映画作品と比べても抜きん出て多くの人物を登場させており、それらの多くが魅力的である。単に犯人と警察といった簡単な構図でなく、消費者と供給者、組織と捜査官などの勢力が互いの懐に潜り合うことで充実した関係性を楽しめる。語らずして恐ろしさを示す群像劇及びドラッグ映画の傑作。