映画おじいさん

三匹の悪党の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

三匹の悪党(1968年製作の映画)
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イントロで高橋英樹と田中邦衛が追われてSLに飛び乗るという掴みのアクションがモッサリとしていたのでハズレだなと思ったら…。

ヤクザの親分の集会で借金のカタに取った町娘のオークションをやると聞きつけた二人が、そこに集まった金を強奪…大アクションになるかと思ったら、警備もなくアッサリ金袋を奪い夜道を逃走。全く緊張感なし。

途中、トラブルがあって高橋英樹が足に怪我をしたにもかかわらず、カットが変わると真昼間になっていて、それでもまだ走って逃げていたり。

そんなテキトーなところがダメな人がいるかもだけど、私はヘンなグルーヴを感じて中盤に差し掛かるころには、すっかり話に引き込まれました。

要所で助けてくれる敵方の姐さんとちょい色心があったりするけどドライな感じで話の邪魔にならないのが良い。

高橋英樹を裏切り実家に逃げて母親・浪花千栄子に金を見せて喜ばせる田中邦衛。その時の浪花千栄子の笑い方が過剰で最高! おまけに長いから終いにゃゾッとする。

あっちについたり、こっちについたりで黒澤『用心棒』オマージュな小林旭も最高。
片目に傷があったり、他の時代劇ヒーローも混ぜ合わせたような安い感じは、マカロニ・ウエスタンみたいで良いな〜と思っていたら、ちょいスプラッタなチャンバラがあったり。

田中邦衛の実家が知らぬ間に追っ手に囲まれる展開はまさにウエスタン。浪花千栄子の尻に飛んでくる鋤(?)は、まんま西部劇で干し草を掻く熊手。

最後の小林旭の超短い決闘はまんま用心棒。そんなに好きならいくらでもやって下さいと言いたくなるくらい感動。

映画的には全然良く出来ていないし、かなりグダグダだけど、独特なリズムのある大好きなタイプのチャンバラでした。