「雑踏ですれ違う 見知らぬ人々の中に 将来の恋人がいるかもしれない」
エイプリルフールに失恋した認識番号223番の刑事モウ(金城武)は、1994年5月1日付のパインの缶詰を探し30日間買い続ける。それは彼の誕生日であり 恋の賞味期限だと決め、きっと彼女は戻ると願掛けしていた…。ブロンドのカツラにサングラス姿の謎めいた女(ブリジット•リン)は何かに切迫したように町を彷徨い歩き、行きつけの軽食屋の新入りフェイ(フェイ•ウォン)は良からぬ企みを密かに続けて、超鈍感な刑事663番(或いは633番)(トニー•レオン)は、徐々に何やら自らの様々な変化に気づいていく…。
どんな物にも賞味期限の日付がある。恋にも期限はあるのか?この世に期限のないものはないのか?
金城武のパートはスタイリッシュで小粋な一期一会の一瞬の煌めき。
フェイ•ウォンとトニー•レオンのパートが可愛いすぎて最高だった。恋する女の子と、それに気づかない鈍感な男、そんなヤキモキとした女の子の心模様を 実に映画的な滅茶苦茶なやり方で描いている笑。〝常識〟っていうものが、映画においてはどれほど退屈で邪魔なものであるかをまざまざと見せつけられたようで、不思議な高揚感がずっと残る。ウォン•カーウァイは本当にロマンチストで美しいな。映像表現もほんとテクニシャンで。
フェイ•ウォンがクランベリーズの名曲『Dreams』の中国語カバーを歌っていて、ちょっとした思い出のある好きな曲なので流れたときビックリしたし最高だったぁ。キラキラして、ほんと最高の映画だな。短髪の男の子みたいな髪型でもフェイ•ウォンはめちゃくちゃ可愛かった。
この質感も雰囲気も90年代のアジア映画の遺産だと思う。何度も見返したくなる。