似太郎

恋する惑星の似太郎のレビュー・感想・評価

恋する惑星(1994年製作の映画)
3.7
【近くて遠い】

虚無的な性格の女の子とだらしない警官(トニー・レオン)の妄想グルグル恋愛模様を描いた佳作。鑑賞後は狐につままれたような感じになる。

香港を代表する名匠・王家衛監督作だが、プロットに纏まりがなく終始フワフワしたムードで展開されるため観てるうちに段々焦ったくなる。一体何がしたいんだ?こいつらは。

現実離れしたファンタジックな映像や台詞回しなどが岩井俊二や『エターナル・サンシャイン』を想起させた。このような都会的な雰囲気自体は嫌いじゃないんだが、主人公を含めて全員ナルシストっぽく感情移入不可である。

こんなものはせいぜいオシャレな雰囲気に酔ってる軽薄なラブストーリーに過ぎない。手持ちカメラを駆使した疾走感ある画面や奇を衒った編集が「俺の作る映画センスあるでしょ?」的な空気を醸し出しており相当鼻に付く。

同じ青春群像劇でもエドワード・ヤンの描く不器用で卑屈な若者達とはエライ差である。この監督は色んな意味でヌルい。映画というより一昔前の裏原系ファッションブランドを見てるような違和感がある。残念だけどおれは客ではないです…。
似太郎

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