Kei

恋する惑星のKeiのレビュー・感想・評価

恋する惑星(1994年製作の映画)
3.7
ウォン・カーウァイ監督の作品を初鑑賞。
想像していたより内容は普通のラブストーリーで驚いた。
作品の一番冒頭では、他の作品では聴いたことがないような、言葉では形容出来ない独特の音楽が流れており、その音楽がとても良かった。
映画は二つの物語で構成されていて、どちらも失恋から再スタートを切ろうとする男とその相手の女の話だった。
正直最初の物語の女が麻薬の密輸をする話の必要性が分からなかった。
タバコを吸いミステリアスで妖艶な女性の映像美がただただ良かったという印象しか残らなかった。
二つ目はケバブ屋(?)の女が失恋した警官に恋をする話で、女が昔の女を忘れさせようとするために行っていた事自体は冷静に考えるとかなり異常なことだが、この映画の中だから許されていると思う。
総じて、麻薬密輸の女とケバブ屋(?)の女の行動心理が説明不足で意味不明な点が多々あったが、セピアで閉塞感がある独特な映像と、冒頭に流れる独特な音楽がこの映画の良い点だと思う。
一つだけ気に入らない点は、二つ目の物語の最中に流れる曲がThe CranberriesのDreamsの中国語カバーだった点だ。
カバーはフェイ・ウォン(二つ目の物語のケバブ屋(?)の女役の女優)が歌っており、カバー曲自体は特に好きでも嫌いでもないが、The Cranberriesのファンとしては元の曲を是非使って欲しかったと思った。

気に入ったセリフ
「理解なんて空しいわ、人は変わるから」
→一度相手のことを理解すると半永久的にその人のことを理解しているように思い込んでしまうけれど、その瞬間にも相手の中身は変わり続けている。相手を常に理解していたいのであれば、常に相手と対話し理解し続ける不断の努力が必要だと考える。継続的に理解し続ける気のない一時だけの理解は、相手の中身が刻々と変わってしまう故に、空しい以外の何物でもない。
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