小林

暗殺の小林のレビュー・感想・評価

暗殺(1964年製作の映画)
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幕府派と勤皇派の間を行き来しながら最後は暗殺されてしまう、清河八郎の生涯を多角的視点により綴った映画だ。原作は司馬遼太郎『奇妙なり八郎』。概ね原作通りにつくられている。簡単にいえば政治スリラーであり、その手のジャンルにつきものの、きわめて複雑な物語構成でもある。その複雑さが、清河の一筋縄ではいかぬ性格を表しているように思えてならない。演出というと、回転運動を頭上から撮ったり、回想シーンを地続きで見せたりで、これがなかなか魅せる。晩年の篠田正浩は往年のファンを落胆させる映画しか撮っていないが、この頃は創作エネルギーの波に乗っていた時期ゆえ、演出も冴えに冴えている。
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