ロク

哀しみの街かどのロクのレビュー・感想・評価

哀しみの街かど(1971年製作の映画)
4.0
ニューヨークの片隅で生きるヘロイン中毒のカップルが崩壊していく様を残酷なまでに淡々と描いた絶望的に救いがない衝撃的なラブストーリー。偶然街角で出会ったジャンキーの青年とジャンキーと知りつつも彼の無邪気な笑顔に惹かれて地獄のような薬物中毒の世界へと堕ち続けていく少女の姿を俳優自身が実際に静脈注射で薬物(恐らくブドウ糖)を注入するというホラー映画さながらの描写や薬物で恍惚状態に陥る姿を見せることで薬物の恐ろしさや残酷さをダイレクトに観客へと伝える演出方法を取った監督には脱帽しましたね。主演2人の演技も凄まじいもので本作が映画出演2作目だったアル・パチーノは屈託の無い笑顔を見せたかと思うと突然凄まじい形相で彼女に対して暴力を振るうという本当にラリってるんじゃないかと思ってしまうくらいの狂気の演技を披露していて本作を観たコッポラ監督が「ゴッドファーザー」に大抜擢したのも納得出来ます。しかし、彼以上に狂った演技を見せてくれたのはキティ・ウィンで無邪気な笑顔が可愛い田舎娘が薬物に手を出したことで薬物を買うために盗みを働き果ては身体まで売ってしまうまで落ちぶれていく様を体当たりで演じていて凄かったです。万人受けするような作品じゃないし人によっては気分が悪くなってしまうかもしれない内容の話だけれど間違い無く名作の部類に入る作品だと思います!
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