猫とフェレットと暮らす人

人生、ここにあり!の猫とフェレットと暮らす人のネタバレレビュー・内容・結末

人生、ここにあり!(2008年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

とっても個性的な人々が、個性がぶっ飛んでるので精神病患者として病院に入れられてたんだけど、労働組合が正義なのだ人間の主人公ネッロが、あなたたちの個性を存分に発揮して、自由になろぜ!って夢を与えてくれる、コメディで表現してくれてるやさしい社会勉強、マジでイタリアであったんですねと実話をベースに描いた映画。

主人公のネッロが、とにかくみんなの個性を尊重して、適材適所にバンバンはめ込んで成功していく気持ちいいストリーは楽しめました。まぁ、ご都合主義といえばそうなんですが、、ベースに流れる、「自由こそ治療だ!」精神とイタリア独特の温和で陽気なコメディが心地よかったです。

労働者を守る為の労働組合の強さがイタリアらしいというか、欧州らしい価値観というか、弱いものを徹底して守る法律をバシバシ採用しているイタリアってすごいなぁって改めて思いました。そうして、守る主義が強すぎて公務員をガチガチに守って、イタリア政府が財政破綻しかけるイタリアってホントバカっぽくて面白い国で好きです。対岸の火事としてみてる分には、興味深い文化だと思います。

弱いからこそ守るべきだ!っていう労働組合の基本理念を最大限に利用する主人公ネッロのキャラクターと手腕の表現がいろいろ絡み合って、うまい脚本だと感じました。
ちゃんと、組合員はみんな平等なので、会議をみんなで実施して、それぞれが意見を言い合い、尊重しあい、主人公ネッロがどんどん引き出して、行き過ぎそうなときは、そっと道をそらすやり方、人たらしって感じで好きです。

個性的なキャラクターは、面白く、几帳面で事あるごとに父の職業をいろいろ変えてアピールしてしまうファビオの言動が行き過ぎそうだけど、主人公ネッロに諭されて、うまく操作されている感じ面白かったです。

話すことをしない、ずっと黙ったままの、ロビーが理事長としてマフィアのボス的な睨みを利かすことを利用した商談取引と、最後の他の施設の個性的な人々を迎え入れる時の無言の最高の挨拶も個性を最大限に活かせててよかったです。

薬を減らして元気になっていく事も大事ですが、元気になったからこそ、性的にも元気になっていき、問題解決として娼婦を買うというのも描いてて、ちゃんとしてる映画だなぁと思いました。繊細な事柄ですが大切な事なので、スルーすることなく描いてたし、エピソードとして話を盛ってるのかと思いきや、そのための資金をEUの助成金で賄おうとしたの本当らしいってのが驚きです。

いつまでも母親に子ども扱いされていてガラス細工のような繊細な心の持ち主ジージョと作業先で知り合った女性カテリーナとの恋と死には、そのやり取りだけで1本の映画が作れると思えるくらい喜びと悲しみの緩急がありすごかったです。

主人公ネッロの味方になって薬を減らす側のフルラン医師が、ネッロと打ち合わせするときビール飲みすぎで、そっちもやばいやろ!いいキャラクター。

初めは、薬漬けにすることしかできてなかった責任者のデルベッキオ医師も最後は主人公ネッロの事を認めて、ほっとしました。

個性を引き出してうまくいくだけでなく、挫折もあり、それでも進んでいくっていうのを描いてていい映画でした。


イタリアの映画とかヨーロッパの映画って、EUの理念の一つに、「経済的発展」だけでなく「社会的発展」も同時に実現していくという、お金だけじゃない価値観が垣間見れて、救いがあっていい文化だなぁって思いました。

どんな、個性があっても、社会的に役に立つのって、価値がありますかね。

Si può fare = やればできるさ!(イタリア原題)

そう言って励ましてくれる映画です。